「妊婦の葉酸摂取量はどれくらい?」健康な赤ちゃんを産む為の葉酸ガイド
出産という初めての経験、元気で健康な赤ちゃんを産むには…
●葉酸サプリはいつから飲み始めるもの?
●食品とサプリメント、どちらから摂るべき??
●葉酸を多く含む食品は?
●不足するとどうなるの?葉酸の摂り過ぎは赤ちゃんに悪影響???
産まれてくる赤ちゃんの為に、自分の体の事を真剣に考えたい !!疑問をあげるときりがありませんよね。
妊娠経験の管理栄養士の筆者が、「最強!葉酸摂取マニュアル」として、数々の疑問を解決します。葉酸にまつわる「疑問」ここで一気に解決、不安を払拭しましょう!
Contents
妊婦の葉酸の1日の必要摂取量
葉酸の一日の必要摂取量はどれぐらいでしょうか?
厚生労働省の2015年版「日本人の食事摂取基準」で葉酸摂取の推奨量を見てみると…
- 成人男女・・・240μg/日
- 妊娠している女性・・・480μg/日
- 赤ちゃんに授乳をしている女性・・・340μg/日
内訳: 通常の240μgの葉酸摂取に加え、更に1日100μg
胎児の発育や母乳の分泌の為に、普段よりも多くの葉酸が必要になる為です。
葉酸は、栄養バランスのとれた食生活の人であれば、普段の食事で知らず知らずに摂取しています。
しかし厚生労働省は、妊娠中の女性や、妊娠を希望する女性は、サプリメントや栄養補助食品から 400μg/日が理想としているのです。(この理由は次の項目で!)
という事は…
妊婦の葉酸はいつから飲むといいの?
厚生労働省が示す、指標は、
妊娠中の女性や、妊娠を希望する女性は、妊娠1ヶ月以上前から3ヶ月の間に、サプリメントや栄養補助食品から 400μgの葉酸摂取が望まれると示しています。
特に、サプリメントや栄養補助食品に含まれる葉酸は、食品の葉酸とは科学的な構造が少し違い、体への吸収や効力がより高いため、推奨されているようです。
サプリメントに関しては、2017年1月10日、米国予防医学専門委員会が葉酸の妊婦の葉酸摂取の重要性を発表しました。
・妊娠希望の女性は、葉酸サプリを毎日摂取すべき
・サプリ摂取効果が最もよく現れる時期は、受胎の少なくても1ヶ月前~妊娠初期2~3ヶ月。
葉酸とは、そもそもどんな栄養素?
葉酸は、緑黄色野菜に多く含まれるビタミンB群の1つで、DNAなどの核酸の合成等に関わる栄養素です。
他にも葉酸は、血液の中の赤血球の形成など、健康な血液の造血にも関わっています。
葉酸は食べ物の他にも、実は人間の体内では腸内細菌によっても合成されるため、普段は通常の食事をしている分には不足しにくいといわれていますが、やはり偏った食事などで葉酸が不足してくると、体に様々な症状が起きてくる場合があります。
日常的にアルコールを多く飲む人は、アルコールの分解に葉酸が消費されやすい事があります!
妊娠・授乳中はアルコールはNGで、禁酒されている方が殆どだと思いますが、ご主人様が日常的にお酒を飲まれるようだと、食事にしっかり葉酸を取り入れてあげてくださいね!
妊婦は特に積極的にとるべき栄養素
女性の体は、妊娠すると受精卵の細胞を分化して、赤ちゃんの身体を作って行く上で、葉酸をたくさん使うようになるので、妊娠中の女性はより多くの葉酸が必要になります。
さらに、新生児の脳と脊髄に発生する先天異常を回避する最良の方法と言われています。
一児の母である筆者にも、だいぶ遠い記憶になってしまいましたが(汗)、かつては マタニティ時代がありました。
当時、私が葉酸をとる為に利用していたのは、葉酸と鉄分が同時にとれるサプリメントと、葉酸や鉄分、カルシウムがプラス強化された低脂肪ミルク(明治ミルク ラブなど)です。
サプリメントは、当時何かのサンプルで貰ったソフトカプセルタイプの物が匂いも少なく飲みやすかったので、そのまま それを時々買って飲んでいたと思います。
牛乳は のまま飲むのが苦手だったので、ネスレの麦芽飲料「ミロ」を適量で溶かして、マグカップで1杯、ほぼ毎日飲んでいました。
葉酸が不足するとどうなるの?
- 胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高まりやすい
- 悪性の貧血の要因
- 疲労や動悸
- 胎児の発育の遅滞
- 妊娠高血圧症候群
- 分娩時の微弱陣痛
- 分娩時の出血量増
- 出産後の母体の回復を遅らせる
- おっぱいの分泌不足
女性の場合、妊娠前後の時期に葉酸を摂る量が少ないと、胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高まりやすいとも言われています。
欧米など世界各国を始め、2000年からは日本の厚生労働省も、妊娠を考えている女性や妊娠中の女性には、より積極的な葉酸の摂取を呼びかけています。
最近では母子手帳にも、記載され始めたそうですよ!
葉酸不足が原因で、骨髄に障害が起こり、赤血球の元になる細胞に異常が生じます。その結果、「巨赤芽球性貧血」という悪性の貧血になってしまう事があります。
この貧血が疲労や動悸の原因になり、胎児の発育の遅滞や、妊娠高血圧症候群を引き起こすこともあります。(必ずしも巨赤芽球性貧血だけが 胎児の発育の遅滞や、妊娠高血圧症候群の原因になるわけではありません。)
さらに・・・
分娩時には微弱陣痛があったり、出血量が多くなったり、また出産後の産褥期には母体の回復を遅らせたり、おっぱいの分泌を不足させやすい…など、少しドキッとするような話もあるようです。
このように、葉酸の摂取は、とても大切です!!
葉酸を摂りすぎると…
焼き海苔を始め、野菜やレバーなど食品に含まれる葉酸は、体に溜めておく事が難しいビタミンの1つなので、食べ物からとっている分には、仮に摂りすぎても特に大きな問題には繋がりにくいと言われています。
一方で、
サプリメントや栄養補助食品に含まれる葉酸は、体への吸収や効力がより高い構造をしているため、摂り過ぎると食欲不振や吐き気、酷い場合は発熱や蕁麻疹、呼吸困難の症状など、健康に影響があるという報告があります。
◆18〜29歳・・・900μg/日
◆30〜49歳・・・1,000μg/日
※栄養補助食品等、通常の食品以外から摂取される葉酸
体のためには多すぎず少なすぎず、適切な量を摂ることが大切なんですね。
葉酸の効果的な摂り方
葉酸は、同じビタミン類の中でも「ビタミンB12」(どちらも造血に関わる栄養素)という栄養素と相性が良いと言われています。
葉酸はビタミンB12と組み合わせる事で、造血に関わる作用がよりサポートされるので、貧血の予防効果アップが期待できるようになります。
また「ホモシステイン」という血管の老化に関わる物質のデトックスにも、葉酸とビタミンB12のWパワーが効果的であると言われています。
ビタミンB12を多く含む食品
ビタミンB12は どんな食品に含まれるのか、気になるところですよね!
実はビタミンB12は、動物性食品にしか含まれないという ちょっと面白い特徴があり、卵や肉類を始め、貝類などにも多く含まれています。
- 卵
- レバー
- かき
- しじみ
- あさり
- 焼き海苔
例えばそれぞれの料理の仕上げに、細かく刻んだ焼き海苔(葉酸)をトッピングすると、風味や美味しさをプラスしながら、貧血予防効果も狙っていけますね。
ちなみにビタミンB12は、葉酸と同様に、腸内細菌がお腹の中で多少なりとも合成してくれるビタミンです。
動物性食品が苦手な人やベジタリアンの人は、腸活など、腸の善玉菌を増やして腸内環境を整えるように意識していくのも、良いかもしれませんね。
葉酸の多い食品は海苔
そんな大切な栄養素である葉酸ですが、最近では葉酸が多く含まれる食品として、「焼き海苔」が注目されています。
焼き海苔には、100gあたり 約1900μgの葉酸が含まれていますが、実はこれは、同じ量のブロッコリーやホウレン草など葉酸を多く含む野菜の、およそ15倍にも相当します。
実際に食べるのはもっと少量ですが、それでも1度にたっぷりの葉酸をとれるのは、やはり嬉しいですね。
更に、毎日の仕事や家事で忙しい、仲間や家族・パートナーとの時間も大切にしたい…そんな女性にとって、
- 調理不要で、手軽にパリパリ食べられる
- 軽くてコンパクトなので、持ち運びにも便利
- 保存がきく
- カロリーが低い
の4拍子も揃った焼き海苔は、とても頼もしい味方になってくれる食品です。
また実は葉酸には「酸性では熱に弱い」「水に溶け出しやすい」という、調理の弱点があります。
例えばせっかく買ってきた野菜も、鍋料理・スープ・炒め物など、調理方法によっては、実は本来期待していたよりも少ない量の葉酸しかとれていなかった…なんていう悲しい事もあるかもしれません。
その点、そのまま食べられる焼き海苔ならば、そんな心配もご無用。まさにメリット満載です!
私はつわりが強く、食べ物も 匂いに敏感になり全くダメになっていたので、香りが立ちやすい温かい料理は ほぼ食べられませんでした。
サプリメントや冷たい牛乳で作ったミロは、葉酸の他にも 鉄分・カルシウムなど、妊産婦は普段よりたっぷりとりたい栄養素も同時にとれて、更に匂いも気にならずに食べる事ができたので、私にとっては かなりのお助けマン的存在でした。
今にして思えば、焼き海苔もアリだったかもしれませんね!
妊娠中に推奨する1日の海苔摂取枚数
スーパーなどに売られている ほぼ正方形の形の 大きな焼き海苔1枚(約3g)は、およそ60μgの葉酸が含まれています。
- 妊娠中の女性が1日に必要な葉酸を、焼き海苔だけで補おうとした場合
・約8枚分の焼き海苔が必要
⇒焼き海苔+サプリで補う場合…焼き海苔は約1.5枚で十分!
- 成人が1日に必要な葉酸を、焼き海苔だけで補おうとした場合
1日の推奨量が240μgで、約4枚分で賄えるという事になります。
しかし焼き海苔には、ナトリウムやヨウ素など、摂り過ぎると健康への影響が心配されるミネラルなども含まれています。
消化のよくない食物繊維も、食べ過ぎれば腹痛やお腹が緩くなる原因にもなりかねません。
葉酸は野菜やレバーなどからも補う事ができるので、1日の献立の中でそれらの食品と上手く組み合わせて、数枚程度の範囲で取り入れるようにするのが、健康にも負担が少なく、自然に取り入れていきやすいですね!
焼海苔と味付け海苔の比較
海苔といえば、焼き海苔よりも味付け海苔!という方も多いですよね。
例えば、おにぎりに巻く海苔も、関東では焼き海苔が好まれ、関西では味付け海苔が好まれる…なんて言う傾向もあるようです。
ここまで焼き海苔に含まれる葉酸のお話をしてきましたが、味付け海苔と比べてみると、どんな違いがあるのでしょうか?
100g中に含まれるそれぞれの栄養素を、一部抜粋して比較してみましょう。
焼き海苔 | 味付け海苔 | |
カロリー | 188kcal | 179kcal |
ナトリウム | 530mg | 1,700mg |
カルシウム | 280mg | 170mg |
鉄分 | 11.4mg | 8.2mg |
葉酸 | 1,900μg | 1,600μg |
日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より
どちらもカロリーには大きな差は見られないものの、葉酸やミネラル類の量は、やや焼き海苔の方が多いですね。
しかしナトリウムは、味付け海苔の方がずっと多く、その差は2倍以上あるようです。
これは味付け海苔が、塩(塩化ナトリウム)などの調味料を使って味付けされている事が、ポイントになります。
ナトリウムは摂り過ぎると体に水分を溜め込み、むくみや高血圧の原因になる事が知られています。
体の事を考えながら効率よく葉酸をとるには、焼き海苔をチョイスして行く方に軍配が上がりそうですね。
まとめ
妊婦が必要とする1日の葉酸摂取量、把握いただけましたでしょうか。
妊娠1ヶ月以上前から3ヶ月の間に、サプリメントや栄養補助食品から 400μgを、1日の摂取量は食品からと合わせて480μgです。
そして、葉酸を多く含み、簡単手軽でおすすめなのが、焼き海苔。
妊婦だけでなく、愛する旦那様も大きな4枚分を食べると、簡単に1日分の葉酸を摂る事ができ、夫婦そろって健康に!
そして無事、元気な赤ちゃんを出産してくださいね!