インフルエンザで保育園は休園にならないの?
冬になると流行する、インフルエンザ。
子どもがかかってしまうと、高熱が出るだけでなく、保育園を数日間休まなければならないものです。
インフルエンザが流行している時は、我が子も感染してしまうのではないかと、ヒヤヒヤものですよね。
誰でも、できるだけ感染を防ぎたいと思うものです。
一方で、保育園はインフルエンザが流行中に関わらず、休園にならない事が多いのが現状です。
そこで今回は、インフルエンザで保育園が休園にならない理由と、対処法について紹介します。
Contents
インフルエンザで保育園が休園になることは「ほぼ無い」
保育園の目的には、「保育に欠ける子どもを預かる」というものがあります。
一方で、幼稚園や学校などは「教育」を目的としている機関です。
教育を目的している幼稚園や学校は、インフルエンザが流行すると、目的とする「教育」に支障が出るため、「休園・休校」の措置がとられます。
しかし保育園の場合は、ママが働いているなどの理由で「保育に欠ける」子ども達が通う場所。
休園にしてしまうと、働いているママも仕事を休まなければならなくなってしまうので、本来の目的が達成できなくなってしまうのです。
そのため、保育園では多くの場合、「休園」措置というものはとられません。
代わりに「保育園サーベイランス」という措置をとる保育園が多いです。次項で詳しく説明していきます。
保育園サーベイランスとは
サーベイランスとは、日本語で「調査・監視」といった意味があります。
保育園サーベイランスとは、一言で言うと、保育園の調査状況と言う意味ですが、何の調査状況かと言うと・・・
保育園の欠席者や発熱・頭痛などの症状別に発症者の情報を収集し、インターネット上で各保育園で毎日5分おきに記録したものを共有、感染状況を把握する事ができるシステムの事です。
2010年に国立感染症研究所感染情報センターで立ち上げられたものです。
集団発生を早期に探知、早期に対応するために、記録・連携・早期探知を一元化した、リアルタイムの調査で、保育園での感染症による入院や死亡といった重症化を防ぐために作られました。
保護者はもちろん、各保育園、園医や保健所、市役所まで情報は共有されます。
収集された情報はグラフ化されるので、発症者が増えてきた事に気づく事ができ、感染拡大の早期探知ができるのです。
またグラフの異常、感染拡大しそうだと予想されると、医師が連携して早期に公衆衛生対応や予防対策をする事ができる、画期的なシステムなのです。
◆保育園サーベイランスのメリット
園内での感染流行拡大を迅速に保護者に知らせられるので、保護者も準備ができます。
月ごとに情報を自動で集計、自動でグラフを作成したり推移を確認したりできます。
ソフトをインストールする必要が無いので、費用がかかりません。
またその保育園だけでなく、近隣の情報が地図や表で表示されるので分かりやすく、自動的にメールで通知もされます。
この保育園サーベイランスを含む、学校欠席者情報収集システムは、日本学校保健会によって運営されています。
保育園版他にも、幼稚園版こども園版も存在し、ログインする事で情報を見る事ができるのです。
なんのために利用するの?
では、保育園では何のために、保育園サーベイランスを利用するのでしょうか。
保育園は、小さい子どもが集団で生活する場所。
そのため、インフルエンザをはじめ様々な感染症に小児感染しやすいのです。
免疫力も体力も弱い乳幼児が感染することで、感染症が蔓延したり、入院や死亡といった重症化になる可能性も高くなります。
これらを防ぐためには、集団発生を早期に探知する必要があり、それを叶えるのがこの保育園サーベイランスです。
また、保育園は感染症を拡大させる機関となり得るので、社会へと拡大させてしまう可能性があります。
流行を早期に探知することで、公衆衛生的な対応を迅速に行って、被害の拡大を防ぐ事ができるのです。
感染症の対応を保育園だけに任せるのではなく、保健所や医師会、保育園管轄部署や園医など様々な人達で、子どもの健康を見守り確保していく事が大切となります。
どれくらいの保育園が導入しているの?
現在、全国では9,875の保育園、800のこども園で実施されています。
しかし、都内での普及は地方に比べて遅れているという現状があります。
導入している自治体は、2013年12月時点では5区、2市のみとなっているのです。
国立感染症研究所感染症情報センターでは、将来的には、全国の80%以上の保育園での活用を目指しています。
これまで以上に、感染症予防となるこのシステム、もしお子さんの通う保育園に導入していない場合は、導入を検討してもらうと良いかもしれませんね。
私も、我が子が来年から保育園。
通わせる保育園に導入されていなかったら、ちょこっと提案してみようかしら…と思っています。
保護者は何をすればいいの?
この保育園サーベイランスで保護者ができることは、診断された感染症名を保育園に伝えることです。
もし自分の子どもが保育園をお休みし、小児科を受診した場合には、小児科で診断された感染症名を正確に保育園に伝えるようにしましょう。
この正確な情報が、システムに入力されることで、より正確な分析が可能となるのです。
もし保育園サーベイランスを導入している保育園に通っているのであれば、我が子が診断されたらすぐに保育園に連絡しましょうね!
また、感染症の情報は、このシステムがまだ導入されていない園にとっても大切な情報です。
保育園サーベイランスが導入されていないからと言って、連絡を怠っていいわけではありません。きちんと連絡しましょうね!
実際、私の保育士時代にはこのようなシステムを知りませんでした。
保育園のある市町村でも、システムを導入したという事は聞いた事がありません。
しかし、インフルエンザ流行期などには、保護者からの感染症の情報が入ると、園ごとに集計して市に連絡、近隣の園と情報交換していた記憶があります。
どこどこの保育園は、何人インフルエンザが出ている!休園になったらしい!
などの情報が、現場の私たちにも伝えられ、園便りやクラス便りなどで呼びかけましたよ。
保育園サーベイランスで有効な感染症
保育園サーベイランスで有効な感染症は、
- インフルエンザ
- 感染性胃腸炎
- ノロウイルス
- アデノウイルス
- 溶連菌
- 麻しん
- 風しん
- 腸管出血性大腸菌
- 結核
その他、すべての感染症対策に有効とされています。
中でも、麻しん、風しん、腸管出血性大腸菌、結核は、より早期に迅速な対応をする事が大切です。
このシステムにより、早期に関係者間で情報共有できるので、迅速な対応につながるのです。
また、この保育園サーベイランスは、冬季のみでなく1年を通して行えるシステムです。
医療機関での診断名と診断前症状の両方を記録して見る事ができるので、早期探知ができ、過去のデータの検証ではなく、前向きな運用ができます。
セキュリティーについて
保育園サーベイランスというシステムは、総務省の認めた「地方公共団体における情報セキュリティ監査関するガイドライン」準じています。
安全なインターネットを使用し、IDとパスワードで保護されているので、いたずら目的での浸入はできなくなっています。
また、個人情報は含まないため、個人情報の漏えいを心配する必要もありません。
現在このシステムを使って全国で使用されていますが、セキュリティ上の問題は一度も起きていないようです。
セキュリティ面でも、安心して利用できるシステムとなっているので安心です。
まとめ
インフルエンザであっても、休園になる事が難しい保育園。
このような、保育園サーベイランスというシステムを使って、感染症拡大を防いだり予防したりしているのです。
難しくなく、誰でもできるこのシステム。
働いているママも、安心して子どもを預けられるように、これからどんどん、広まっていくことを願っています!